奇想に充ちた短歌で「日経歌壇(穂村弘 選)」に100首以上掲載、年間の秀歌にも多数選出のスター歌人として知られる田中有芽子。2019年に刊行し話題を呼んだオンデマンド歌集に、新作「りからん」を加えた新装版。穂村弘による解説も収録。
〈収録短歌より〉
ガラス越し新生児らの歳を足すみんな合わせて56日
ぎっしりとセミの抜け殻詰め込んだ軽いトランク持って野を行く
奇数本入りのパックが並んでる鳥手羽先の奇数奇数奇数
あのアゲハ小さい頃から何回もおんなじやつに会ってるのかも
海と陸出会うはずない命たち一皿に盛ってシーフードサラダ
お母さんはあんたよりもっと殺してる巣に水を入れたりもした
(出版社情報)
世の中には、重い短歌、軽い短歌といろいろありますが、「面白い!」と叫びたくなる短歌はそう多くはありません。
短歌を読む習慣がない人にもその面白さが伝わる本書は、彗星ブッククラブで初めての歌集にふさわしいと判断し、3月の本に選出しました。
彗星ブッククラブ内で配信している解説動画では、本書の短歌を紹介しつつ、令和の短歌ブームがいかに起こったのか、なぜ新進歌人が多数出現しているのか、そのきっかけとなった平成のベストセラー歌集を分析しながら説明しています。(動画のご視聴には彗星ブッククラブへの入会が必要です)